第四の消費

○大衆から少衆へ

 

○いま人々は自分の感性、趣向、好き嫌いに忠実に生き始めている。
 人並みな暮らしを目指し、横並びを志向した大衆の時代を経て、
 再び人々はばらばらな生き方、暮らし方を志向し始めている。

 

○第三の消費社会から第四の消費社会への変化の特徴
 1、個人志向から社会志向へ、利己主義から利他主義へ
 2、私有主義からシェア志向へ
 3、ブランド志向からシンプル・カジュアル志向へ
 4、欧米主義、都会志向、自分らしさから日本志向、地方志向へ(集中から分散へ)
 5、「物からサービスへ」の本格化、あるいは人の重視へ

 

○情報は物質とは違い、それを私有し、独占し、貯め込むだけでは意味を成さない。
 それを他社に伝え、他者と共有しないと、情報を持っていることの喜びを味わえない。
 金の延べ棒のように情報を積んでおいても、情報は価値を生まない。

 

○共費の時代

 

○第四の消費社会では、単に物を消費する、サービスを消費して満足するかどうかではなく、
 消費を通じて人とつながりあえるか、もちろん消費じゃなくても何かをすることで人と知り

 合えるか、交流できるか、というソーシャルなところに価値が置かれている。

 

○環境教育を小学校時代から受けてきた今の若者が、本当にエコな暮らしをしようと思うと、
 必然的に大都市ではなく、地方で暮らすほうが好まれる。

 

○日本人の感受性とは、「繊細、丁寧、緻密、簡潔にものや環境をしつらえる」能力であり
 そうした日本人の「美意識」「感覚資源」こそが世界に貢献できる

 

○今の時代においてデザインは、不要な物を買いたいという欲望を駆り立てる為にではなく
 「社会の中で共有される倫理的な側面」を打ち出すべきであり、「いかに魅力的なものを
 生み出すかではなく、それらを魅力的に味わう暮らしをいかに再興できるか」が今後の課題。
 つまり物のデザインではなく、人と人のつながりのデザインが求められている。

 

○商店街を、商業のための街としてのみ再生してはならない。
 もっといろいろな機能を持った「生活総合産業」のための「街」として再生することが

 目的になる。商売をする場所、住む場所としてはもちろんだが、福祉、介護、教育、子育て、

 文化などの拠点としても街が再び見直されていくべきである。

 

○SNSの発達は都市構造や、国土構造にも影響を及ぼすだろう。
 大規模商業施設の集まる大繁華街に人々が集中するのではなく、
 人々がそれぞれの個別の関心にしたがって、どんなに小規模なものであっても、
 自分の関心に最もあった店やイベント会場に分散して集まることになるだろう。

 

○物をつくる人、選ぶ人、店を作る人の目がぶれない事が重要になる。
 確かな目で見て長く売れる本質的なものを選び出す。そういう人のいる店が、
 客から信頼される。そうするとまたその店に来たくなるし、その物を買いたくなる。
 だから長く売れ続ける。そのように店と人との関係を大事に育てていくことが重要になる。

 

○まちでおもしろいことをやろうと思っている人たちが活躍しやすい状況をつくってやる

 

○第四の消費社会への試み
 1、ライフスタイル、ビジネス、まちづくりなど社会全体をシェア型に変えていく
 2、人々が、プライベートなものをすこしずつ開いていった結果、パブリックが形成され

  ていくことを促進する。
 3、地方独自の魅力を育て、若い世代が地方を楽しみ、地方で活動するようにする。
 4、金から人へ、経済原理から生活原理への転換を図る。

 

○いたずらに新しいものを求めない。すでに在るもの、古いものにも等しく目を向ける。
 まだ使えるものを捨てない。すでにあるもの、古いものを上手に活用する。
 
○現代の消費者は「楽しいこと」ではなく「うれしいこと」を求めている。

 

○企業としては第四の消費社会、人口減少社会にふさわしい、人と人
 とのつながりを生み出すビジネスを考えるべきなのだ。
 
○住民間の円滑なコミュニケーションを促進するソフトを売っていく。
 一人暮らしの老人が孤立化したり、孤独死したりしないようにする。
 小さな子供がいる家庭が安心して地域で子育てできるようにする。
 そのために住民同士の良好なつきあい、つながりをあらかじめつくっていく。
 そうした住宅地のソフトな管理運営が求められる。

 

○「ファッションに興味のない人がファッションのテナントで埋め尽くされたフロアを
 訪れることはほとんどない。雑貨に興味のない人がセレクトショップのフロアを
 訪れることはほとんどない。
 しかし訪れてみればそのフロアで自分が欲しかったものを見つけることもある。
 そのためには自分に関係ないと思っているフロアへ立ち寄るきっかけが必要だ。
 そのきっかけとして地域の様々なグループ、団体の活動を間近でやってもらう。

 

○商店街だから商店をつくる、商店がテナントで入ったビルをつくるという発想をやめて
 あくまで「街」のほうに目を向けるべきだ。そこには必ずしも商店が並んでいなくても
 いいのである。あくまで「街」を再生するべきである。

 

○国内では自動車を何台売るかは問題ではなく、バス、電車、路面電車、自転車なども 
 含めた交通と移動のシステムを売るようにするべきだろう。

 

○いまこそ地方は、地方独自の歴史、伝統、文化を再評価し、それらを踏まえた物づくり、

 デザイン、観光などを考えていくべきである。

 

○30年前に東北が壊滅したら、ちょうどいいから高速道路をつくって、ビルを建てて、

 東北を近代化しようということになったでしょう。ところが今は近代化がいいことだ

 と思っていない。東北固有のよさを残したいと思う。だから田中角栄型では復興できない。

 

○新しい共同体、つまり住まいと仕事場を結ぶ新しい共同体がつくられて、
 そこに店もはりついた形での小共同体がいくつかできているように思う。

 

 

 

 


 

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